「villa aida」の小林寛司シェフと有巳さん、そして2人のご縁で繋いでいただいた沖縄在住のパティシエ、「萌菓」の西尾萌美さんとのセッションディナー。コロナ前はたくさんのイベントを開いてきましたが、この1年はほとんど開催できなかったため、久しぶりのセッションディナーになりました。
開催した私たちが言うのもなんですが、素晴らしい会。食事とデザート、オペラやミュージカルのような2幕構成のような感じといえばわかりやすいでしょうか。食事だけでも素晴らしいのに、デザートでまた盛り上がるという、深い、深い、余韻のあるディナーになりました。
小林寛司シェフと里山十帖の桑木野恵子とのセッションディナーは2回目。どの料理も「里山十帖の味」ではあるのですが、小林シェフが味を重ね、食材を重ねると、いつもとは全く違った小宇宙がそこに現れます。里山十帖の発酵部屋や雪室、燻製小屋から様々な食材を持ってきて味を重ねていく様子は、まさにセッション。「ローカルガストロノミー」は、日々変わっていく食材や、地域の文化・歳時記とのセッション、つまりライブ感が重要だと思っていますが、今回の料理はまさにそれを感じるものでした。
さらに西尾萌美さんのデザートも新潟・南魚沼を現した素晴らしい内容でした。魚沼の雪をテーマにした「湿潤の雪」は、様々な雪の色や層を表現しているのですが、これは食べた人じゃないと本当にわからない。春になると消えていく雪、そして現れる大地まで想像させる一品でした。
ここ半年、里山十帖の料理は大きく変化しています。発酵部屋で醸される様々な「天然の味」を重ね合わせて、新しい味を作り出す。わかりやすい旨味に頼るのではなく、微妙な味の掛け合わせで、今までにない旨味を作り出す。
コロナ騒動の中で多くのシェフが里山十帖を訪れ、励ましてくれています。その一人が、villa aidaの小林寛司シェフ。里山十帖のシェフ、桑木野恵子は、今回もまた、大きな刺激をいただきました。
ちなみに。里山十帖ではこの1年、ノンアルペアリングに力を入れているのですが、今回のノンアルペアリングも凄かった! 寛司シェフと有巳さんが大幅に進化させてくれました。
2月。雪の多い今年は、里山十帖らしい風景が広がっています。そして食事は先日のセッションの名残を感じる内容に。いつも言うことですが里山十帖の料理は「地味で滋味」。派手な味や食材ではないので、「年に一度のご馳走」を目的にされる方には向いていませんが、コロナ疲れで胃も心も疲れている人にとっては、スーッと体に馴染んで癒してくれる味だと思います。
ぜひ、冬の里山十帖にお越しください。
ちなみに下記は、当日のメニュー。
「立春雪解」
雪室じゃがいも 子持ち鮎
かじか 干しぜんまい あずき
白菜 うるい サルナシ
銀葉草 もずく
八頭 あま酒
テンペ ハリハリ漬 つぶ貝 人参
揚げ おこわ 毛ガニ
聖護院大根 ルレクチェ
白米 雪室ブリ
dessert
湿潤の雪
雪室キャベツ スターフルーツ
デクリネゾン
豆 佐渡バター 島ざらめ
砂糖菓子 5種の雪
淡雪/杏仁香 寒緋桜樹皮
雪さらし/かぐら南蛮 四季柑
雪兎/杉芽 カエデ樹液 ヤマビワソウ
氷柱/柚餅子 みりん粕 台湾カカオ黒糖
零れ種/ハーブ種子 手炊き純正黒糖villa aidaの小林寛司さんと有巳さん、西尾萌美さんと
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