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大地の芸術祭 里山十帖のおすすめ その2/松之山エリア

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大地の芸術祭の醍醐味は、なんといってもこの地域の「生き様」に触れること。信じられないかもしれませんが、昭和40年代まで冬の間、閉ざされていた集落がたくさんあるのです。小学生が冬の間、里の親戚の家に預けられていたとか、それでも片道1時間以上かけて学校に通っていたとか。

だからこそ、この地域には昔ながらの民家が残り、発酵食などの伝統食が残り、山菜が豊富に残り、伝統野菜の種をごく自然に自家採種するのです。

「越後妻有」とは昔からの地名ではなく北川フラムさんの造語ですが、妻有とは「とどのつまり」の意味。信濃川が千曲川に変わる新潟のいちばん奥の雪深い地域を「妻有」と呼んでいたそうですが、その「とどのつまり」に「越後」を付けて、地名のようにしたのが「越後妻有」というわけです。

つまり、本当の「越後妻有」は「とどのつまり」の生活を感じることに意味があります。そして、その生活が現代ではいかに大切で、逆に豊かなものなのか、五感で感じていただきたいと思っています。

そんな「とどのつまり」的な、今ではとても平和で、のどかで、豊かな暮らしが息づいているのが松之山・松代エリア。ということで、今日は松之山エリアの「里山十帖的必見作品」を新旧作品あわせて紹介します。

【夢の家】
旧ユーゴスラビア出身の作家マリーナ・アブラモヴィッチの作品(以下敬称略)。2000年の第一回に制作され、大地の芸術祭の顔とも言えます。本来は、夢を見るためのスーツに着替えて一晩この箱(ベッド)で寝て、みた夢を書き綴るという参加型アートですが、見学だけでももちろんOK。周囲は本当にのどかな農村風景。写真だけ見ると「ギョッ」としますが、実際に眠ると皆さん、けっこうぐっすり眠れるようです。

【不老不死の薬】
夢の家の隣にある、オーストラリアの作家、ジャネット・ローレンスの作品。2003年。この地域で採れる草花を漬け込んだ薬草酒がずらりと並んでいます。地域の人々がいかに自然と共に生活してきたのかが一目でわかる作品です。

【収穫の家】
オーストラリアの作家、ローレン・バーコヴィッツの作品。2003年。「不老不死の薬」と同じく、この地域の風土と歴史、文化を想起させる作品。夢の家から徒歩1分、同じ上湯集落にあります。

【最後の教室】
フランスの著名なアーティスト、クリスチャン・ボルタンスキーの作品。2006年。廃校になった小学校を舞台にした大掛かりな作品で、特に人気が高い作品です。今年はエントランスがリニューアルしただけでなく、「影の劇場 〜愉快なゆうれい達〜」という新作が登場。

【ブラックシンボル】
サンティアゴ・シエラの作品。今回、2018年の新作。スペインのシンボルとも言える巨大な雄牛が松之山温泉の奥にそびえ立っています。牛はこの地では農耕に欠かせない「友達」(家族)。新潟では牛肉を食べる文化はなく(家族なので食べない)、すき焼きもしゃぶしゃぶも豚肉が主流でした。そんなこともあってか、なぜか松之山温泉にしっくり馴染んでいます。

【家の記憶】
ベルリン在住の作家、塩田千春の作品。2009年。黒い毛糸が1階から天井裏まで縦横無尽に張り巡られています。

松之山エリアは、一見すると難解な作品が多いように感じますが、現代社会が忘れかけている先祖への畏敬の念、土地の持っている力、本当の豊かさとは何かといった、人間の根幹に対して静かに問いかける作品が多いのが特徴。この夏の時期、松之山の棚田も、農村風景も、それは美しく天国のようですが、あと4ヶ月もすれば長い冬に突入します。そのような自然環境を想像しながら作品を巡ると、より一層、作品が持つパワーを感じられるはずです。

ちなみに「里山十帖」のある大沢山集落も「とどのつまり」的な場所。冬は車で上がってこられない場所で、小学校は歩いて1時間以上かかったそうです。
だからこその風景、だからこその味。
ぜひ里山十帖と大地の芸術祭の旅で、新潟の風土と文化を感じてください。

【里山十帖 空室情報】
大地の芸術祭期間中は平日も含めて空室は残りわずか。ぜひお早めにご予約ください。なお、キャンセルが出ることもあります。まめにサイトをのぞいていただくと、空室が現れます! ちなみに芸術祭終了後も9月は空室が少なくなってきています。また先週あたりから紅葉シーズンの予約が本格化しています。10月中旬から11月中旬までの1ヶ月はお早めにご予約ください。

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