「広すぎて周りきれない!」。お泊りのお客様からそんな声をよく聞きます。
エリアは東京23区と同じくらい広大。里山十帖ではエリアを限定して楽しむことをオススメしています。
大地の芸術祭も7回目。過去の人気作品が常設化(期間限定公開)されていて、エリアごとにかなり作品の厚みがあります。正直言って、新作ばかりを見て回ると移動距離が長すぎて、本当の魅力がわからないのも事実なのです。
ということで、エリア別紹介の第一回目は「十日町エリア」。東京からもっとも近いエリアで、大地の芸術祭の玄関口。里山十帖からも市街地まで車で20分と、すぐそこの距離です。
【越後妻有里山現代美術館キナーレ】
中核施設となるのが、越後妻有里山現代美術館「キナーレ」。2003年に完成した交流館が現代美術館にリニューアルしたのは2012年のこと。現在では芸術祭会期以外も美術館として年中公開されている、この地域を象徴する建物です。
常設展示以外の目玉となる作品のひとつが中央の池に展開する不思議な空間、レアンドロ・エルリッヒの「Palimpsest: 空の池」(作家名の敬称略)。昨年秋から春にかけて東京六本木の森美術館で開催された展覧会が大きな話題になったので、「あ!」と思う方も多いことでしょう。
池の周囲では「2018年の〈方丈記私記〉」という企画展を開催。方丈、つまり四畳半という限られた空間を建築家やアーティストが作品化しています。
概念的なアート作品から、子供が楽しめる空間、さらに一杯飲んで唄えたり、美味しいコーヒーが飲める四畳半まである、誰でも楽しめる体験型展示です。そのほか開催地域内のお米の味をおにぎりで比較体験できる「ザおこめショー」も、昼食を兼ねて体験してもらいたいイベントのひとつ。ショーの時間にあわないときは、おにぎり2つとお惣菜付きのお弁当を1500円で食べられます。
キナーレでは2-3時間はあっという間。たっぷり時間をとって訪ねてください。
【喫茶TURN】
キナーレから歩いて行ける範囲でおすすめなのが、十日町駅すぐにある「喫茶TURN」。日比野克彦の作品で、当地では車庫や倉庫に使われているかまぼこ型の建物の中で太陽熱で温められた水(お湯)でお茶を頂くことができます。隣にはひびのこづえの「10th DAY MARKET」も。電車の待ち時間にちょっと立ち寄りたい作品です。
【絵本と木の実の美術館】
十日町市街から信濃川の上流方面に車で約15分、新潟・魚沼らしいのどかな風景が広がる山間集落にある、木造の小学校跡地が、この美術館。周辺の雰囲気もさることながら、さらに田島征三の世界観が立体絵本となって体験できる、素晴らしい空間です。
2009年の芸術祭で作られた施設ですが、毎回、開催されるたびに作品が拡大。今回は玄関前の斜面などに新たな立体絵本の物語が展開されています。
施設内には、昔ながらの教室を利用したカフェ「Hachi Café」も併設。里山十帖のスタッフにはいちばん人気の施設です。
【裏側の物語 シュー・ビン(徐冰)】
今回の新作。シュー・ビン(徐冰)の作品で、十日町市街から信濃川下流方面に車で約10分、上新田公民館の2階にどーんと現れます。この作品、一見するとただ美しい山水画に見えるのですが、裏側にまわると誰もが仰天します。なんと水墨画のように見えていたのはすべて影絵。その奥深い表現と仕組みを知るために裏と表を誰もが行き来してしまうでしょう。
公民館は集落で長く愛されてきた木造の建物。大地の芸術祭らしい、古い建物を利用した作品でもあり、必見です。
【うぶすなの家】
絵本と木の実の美術館と並んで、里山十帖スタッフに人気なのが「うぶすなの家」。2012年の作品で、昔ながらの古民家と数々の陶芸作品が一体化したこれまた素晴らしい作品です。
大地の芸術祭開催中は美味しいごはんが食べられる施設としても超人気。集落の元気でかわいいお母さんたちが作った「田舎ごっつぉ」をいただくことができます。
十日町市街地から車で約20分と、ちょっと距離のある山間集落ですが、わざわざ行く価値あり! 周辺ののどかな雰囲気と相まって、訪ねてごはんを食べると本当に癒されます。
そのほかにも魅力的な作品が多数。詳細は公式ガイドブックを見てもらいたいのですが、十日町エリアだけで2日間は遊べる、それが大地の芸術祭の凄さなのです。
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