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奇跡(?)の10周年記念イベント

里山十帖10周年の特別イベント、ソウル『オンジウム』とのコラボレーションが、先日行われました。
昨年の春に2週間、ソウルに滞在してレストランを巡った際、最も感動したのが『オンジウム』。ソウルでは何軒もの「韓国の未来」を感じる素晴らしいレストランと出会ったが、なかでも『オンジウム』は群を抜いていました。
「歴史と文化と料理をここまで融合させ、かつ昇華させたレストランはあっただろうか?」
料理を食べるたびに韓国の文化を感じ、韓国への新たな興味がわいてくる。けっして押し付けがましくなく、所作まで含めてすべてが美しく、料理も美味しい。正直なところ、こう思いました。「これほどの提案性を持ったレストランは日本にあっただろうか」
日本には「料理の美味しい」レストランは多数存在するし、クリエイティブに優れたレストランもたくさんあります。日本人の技術力は世界有数であることは間違いないし、ミシュランガイドの星が多いことも日本びいきというわけではないでしょう。しかし。日本料理店も含めて「日本文化」の新たな提案を追求しているシェフはけっして多くはありません。

そして今年2月、里山十帖のシェフ桑木野恵子が、プライベートで1人オンジウムを訪ねました。やはり何軒ものレストランを訪ねたのですが、帰って来て開口一番言った言葉が、「オンジウムが素晴らしかった!あんな提案性の高いレストランは世界に存在するでしょうか?ぜひオンジウムとコラボレーションしたい。開業10周年イベント、まだ決めていなかったですよね?オンジウムにダメもとでメールしてもいいですか?」
さすがに突然すぎて無理だろうと思っていたら、なんとOKの返事が。桑木野はこういった突撃系でとんでもない成果を出すことがあるのですが、これを社内では「桑木野恵子マジック」と呼びます。

そして5月16日、10周年当日の17日に行われたオンジウムとのコラボレーションは、我々が言うのもおかしな話ですが、素晴らしい内容でした。オンジウムの2人のシェフ、チョ・ウンヒさん、パク・ソンべさんの技術力と文化解像力は凄いもので、調味料など一部の食材以外はすべて新潟・魚沼のものにも関わらず、ピシッとまとまっています。そしてその料理はオンジウムの料理でもあり、里山十帖の料理でもあるという、なんとも不思議な感覚。
すべての料理が3人のシェフのコラボレーション。チョ・ウンヒさんの得意な韓国宮廷料理と伝統料理、パク・ソンべさんの育った田舎の料理と世界で学んだ技術を融合した料理、そして桑木野の里山文化を体現しようとする料理。
大陸から朝鮮半島、そして日本に渡って来た文化を各所で感じ、料理には韓国にも日本にもある、豊かな里山、いや、これからも「豊かであるべき里山」の風景が広がっていました。

実は今年は10周年yearとして、これからも多くのイベントを予定しています。まだ詳細は明かせないのですが、韓国でもう一軒、桑木野が「絶対にやりたい」というレストランとのコラボレーションやヨーロッパの複数国からシェフを招いてのコラボレーションなどを予定しています。
10周年は単に通過地点に過ぎないですし、そもそも里山十帖は17年返済で始めた宿。返済はあと7年も残っています。が、オンジウムとのイベントは単なるコラボレーションとは異なり、これから里山十帖が目指すべき道筋を明確に成果として残してくれました。

「風土、文化、歴史を料理で表現するローカル・ガストロミー」が目指す料理とは何か。そしてゲストにどんなインスピレーションを与えることができるのか。
料理が単なる料理を超えた時、宿泊施設が単なる宿泊施設を超えた時、サービスが単なるサービスを超えた時、そこには新しい価値が生まれる。10年前「地域体験型複合施設」として生まれた里山十帖。これからの10年、さらに新しい価値を提案できる施設にしていきたいと思っています。

クリエイティブ・ディレクター
岩佐 十良

<空室情報>
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